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ということで。

前回の記事に記載してある通り、眼鏡ちゃんの走力不足により急遽ランナーとして狩り出された我が部の要、参謀!
昨今はアーチェリー部を退部し、将来に向けてひたすらにまい進している彼ですが、かつて部内で培った脚力と瞬発力は未だに健在のはず!
「え?オレがやるんですか?オレが?」と渋る参謀を部長の笑顔で黙らせて無理矢理スタートラインに立たせます。


残念ですが我等が裏生物部の人間に、拒否権なんて権利は与えられておりません。部長またはT様の命令は即実行!それが嫌なら腹切って詫びろやがこの部の鉄則です。今までそれをわきまえず逆らったばかりに、三途の川にコンクリート抱かさせられて叩き込まれた被害者が語るのですから間違いありません。皆さんは大きな権力を前にして立ち向かうなんて無謀なことは絶対にしてはいけませんよ?



人間って結構アッサリ死にますから。



で、この世の摂理をかいつまんで再確認したところで、参謀は既に準備万端。先程の眼鏡ちゃんの様にスリッパを脇に脱ぎ捨て、準備体操を開始しています。

視界の直線状に存在するゴールを射る参謀の瞳は、そうまさにチーター。サバンナを駆ける俊足の王者が狙うのは、勝利という名の獲物です。さあ、その眼鏡の奥で輝く野生の本能をむき出しにして、走って下さい音速の帝王!!


「よーい、どん!!」


その声と共に、参謀は目にも留まらぬ勢いで走り出しました。先程の眼鏡ちゃんの鈍足などとは比べ物にならない疾走スピード!
“これならイケる!!”その場にいた誰しもが勝利を確信しました。発声開始ゾーンに参謀の足が到達します、越えた瞬間覚悟を決めて……!


「あ―――――――――――ッッ!!」


腹を括った参謀の叫び声が、観測地点に居た私たちの耳元を通り過ぎて行きます。ある意味悲鳴にも聞こえたんですがそんなことは気にしません、我が部に入部するにあたっては、羞恥心とプライドは肥溜めに叩き込んでおくことが大切です。大丈夫、人間は恥ずかしさでは死にません。

で、参謀が恥とプライドをなげうって挑んでくれたテイクツーですが、残念なことにスピードとしては良かったものの、声の音量が足らなかったらしく失敗。物の見事に参謀の決意の走行は水の泡となってしまいました、な非情に惜しむべき結果となったのですが、失敗とは成功の元、参謀の屍を無駄にするわけにはいきません。(まだ死んでないよ)


ということで、新たな問題として浮上した「音量」について、作戦会議開始。走りながら大声を張り上げる、というのは、予想以上に体力を消費するものでして、例え発生地点ではソレが可能だったとしても、とてもゴールまで持ちません。
恐らくメンバーの中で一番体力があり、そして肺活量も優れている参謀が失敗してしまったのですから、これ以上の人材を求めるのも厳しいでしょう。


さて、困った。


どうにかして声のボリュームを上げる方法は無いだろうか。
考えあぐねるその場の部員。窓の外ではシトシトと雨粒が地面を打ちます。こんな風にアイディアが降注いでくれると大変嬉しいのですが、世の中そんなに上手くもいかず、ひたすら首をかしげるその場のメンバー。


「………あ、そうだ」


そんなとき不意に、部長がなにやら思いついたらしく、いつもの策士な笑みをニタリと浮かべました。そしてそのまま標本室へ。なんだろうと思って見つめるその場の一同。
暫くすると部長は、なにかを片手に廊下へ舞い戻って来ました。

「なんですかソレ」

部長の手に握られていたのは、透明な樹脂製の柔らかい板を丸めセロテープで貼り付けた、丁度メガホンの様なもの。部長はそれを掲げて、高々(?)と宣言します。


「コレで声を大きくして走れば良いじゃん!」


―――――成る程。
流石部長です、名づけて「似非メガホンで音量ドカーン大作戦」ですね?(最悪なネーミングセンス)
確かに、声が小さいなら大きくしてしまえば良いのです。野球などの応援に使われるメガホンですけれど、アレって簡易な作りの割りに大きく声が響きますよね?
便利グッズを発明してきた部長はご満悦。素敵な微笑みを浮かべながらその似非メガホンを参謀へと渡します。


「さあ、走るが良い!!」


ということでテイクスリー開始!
部長の秘密兵器と参謀の脚力、この二つを組み合わせて起こせドップラー!!
無意味に場が盛り上がる中、再びスタートラインへとつく参謀少年。BGMは仮にスキ〇スイッチの全力少年とでもしておきましょうか。私の趣味ですが。(オイ)


再度、スタートの掛け声で駆け出す参謀。助走は十分、お手製メガホンを発声地点直前で構えて―――!


あ――――――――ッッ!!


おお、声が大きい!!


年甲斐も無く感動する一同。 で・す・が、再びここで問題が発生、声が大きくなったのは良いものの、なにが足りないのか肝心のドップラー効果を観測することができません。
走り去る救急車に出来てどうして裏生物部員に出来ない!!首をかしげる部長他四名。あーだこーだと、再び予想できる原因を探るべく第二作戦会議を開始します。


そもそも、救急車にあって先程の我々の実験に足りなかった要素は何か?失敗したら探求することが大切です。

仮にも科学系の部員としてその作業は欠かせないこと。当初胸に湧き上がっていた虚無感なんてかなぐり捨てて、各々知恵を寄せ集めること約一分。出た結論は。


「声の高さが足りないんだ!!」


道路を爆走していく救急車のサイレンというのは、案外に高いですよね?間近で聞くと「え?こんなに高音だったかな?」ってよく思うんですが、そうなんです、実験の失敗原因は「声の高さ不足」だったんです。


成る程、確かにそれなら仕方が有りません。部長も参謀ももう立派な男子高校生。声変わりもとうの昔に済んだ二人に、ソプラノボイスを求めるなんて酷でしょう。


ということで。


問題点が浮き彫りになったところで考えるべきなのは「さて、どうやって解決するか?」。原因が解明されたとて何もしなかったのなら、究明という過程があまりにも報われません。
再び部員の視線が眼鏡ちゃんに向けられますが、いくらメガホンを使ったって肺活量が足りないことは明白(念のため実際やって試した)、見学していたアジさんやSさんも乗り気でないし、こうなればノリが良くてこんな下らない実験の被験者を、喜んで引き受けてくれそうな奇特な部員を探さねばなりません。


さあ、どうする?


再びどうするかを考える中、ふと参謀が生物実験室を見やりました。確か、こんな時間までまだ中に居るのは、茄子さんとT様、そしてリス姐と………。


「ああ、居るじゃないか一人!!」


最後の一人を思い浮かべたところで、その場の全員が思わず、含み笑いを漏らしました。



【続く】



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